新装版 銀行総務特命 講談社文庫 の感想

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タイトル新装版 銀行総務特命 講談社文庫
発売日2014-03-14
製作者池井戸潤
販売元講談社
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購入者の感想

帝都銀行総務部企画Gの特命担当、指宿修平調査役を軸に、若手の鏑木和馬、そして人事部から送り込まれた唐木怜が、行内の権力争いの中で様々な事件の解決に特命を受けて活動する短編集だ。同じ短編集でも江上剛氏の「社長失格」のようなテーマのないオムニバスよりは、本書のようにストーリーに一貫性ある方に軍配を上げたい。本書8話はいずれも意外な展開や犯人像、流れの緊迫感に短編ながら読み応えがある。
第1話の「漏洩」は、融資先情報がリストで外部に漏れた。しかも信用格付まで入っている・・。 第2話の「煉瓦のように」は、裏金作りで上司を庇う組織で働く者の悲劇・・。 第3話の「官能銀行」は、女子行員がAV女優で出演、週刊誌記事に・・。 第4話の「灰の数だけ」は、帝都銀行品川支店長の妻子が誘拐された。唐木怜が身体を張って活躍するが・・。 第5話の「ストーカー」は、渋谷支社の女子行員がストーカーの被害にあっている。しかし話は不正資金流出という展開に・・。 第6話の「特命対特命」は、債券部の花形トレーダーの20億円損失が発覚した。 第7話の「遅延稟議」は、支手決済日まであと10日という切迫した時期に50百万円の借入申込を受けた川崎支社の担当者。難しい本部稟議に・・。 第8話の「ペイオフの罠」は、京浜銀行久が原支店の担当者が独居老婆に他行の定期預金預け替えを依頼するが・・。
特に緊迫感があるのが、第4話の誘拐救出の場面と、第7話の運転資金の緊急借入れ場面だ。後者の「遅延稟議」は、担当者と取引先、担当者と課長・支店長、支店と融資部(審査部)という何段階ものハードルに、時間は刻々と過ぎていく。融資出来なければ不渡り発生となる。よくあることであるが担当者は板挟み状態になる。「握り込み」もあり得る。苦しさから不正に走る、特に「浮き貸し」もあり得る。こういうことも想定しながら、私は第7話が最もハラハラさせられた。

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