バウッダ[佛教] (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトルバウッダ[佛教] (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者中村 元
販売元講談社
JANコード9784062919739
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

高野山のある和歌山に住む弘法大師空海ファン、曼荼羅フリークであり同山の宿坊にはよく泊まります。また、道元禅師の普勧坐禅儀に惹かれて日々坐禅を組む一在家です。空海はそのカリスマと十住心論で密教を最高位に位置づけ日本仏教に革新をもたらし、自らは現在では南無大師遍照金剛と親しまれる。道元は坐禅をすることそのものが悟りであるといい、釈迦をはじめ、これまでの祖が共通して実践した坐禅の行うことはこれまでの仏のマネであり、真似を続けていれば本物になる、と極限まで純度の高い仏祖像を追求した。さて、ここでわたしの中で気がかりになったことがあった。どちらも素晴らしい教えではあるものの、宗派となると、それぞれの教えを真実だという。しかし、そもそもブッダはどんなことを伝えていたんだろう?どんな修行を行い、どんな風に弟子たちにその深い悟りを伝えていき、後世に残っているのだろう?原始仏教と現在私が好きな日本仏教との位置関係が気にかかっていた時に、スッタニパータなど仏祖の直接のお声に迫る中村元先生の本に出会えました。やはり、原始仏教から発展して来たとはいえ大乗の教えには良くも悪くも随分と【盛り】と【端折り】があるようですね。また、その辺りがどこか教主の熱い想いが故の主張が、私の中で実際を掴む上でのバイアスを含んだ教義のようにも感じて、私の中でも喉のつっかえになっていたようです。ブッダはそもそも【師に握拳なし】つまり、隠している教えなどないと言っていたこと、僧堂に閉じこもらず遊行していたこと、自らは誰かを導こうとしていたわけではなくただただ真理に生きていく中で感銘をうけた人たちが次々に帰依したことなど、自然体な御釈迦様が見えてきました。ま、一言で言うと、御釈迦様の生の像と、中国経由で私達がイメージしている御釈迦様は別物ということですね。恥ずかしながらその別物の御釈迦様を確認せず、日本仏教を仏教だと思い込んでいました。自分の好きな空海、道元をやや冷ややかに見ることで、彼等が伝えようとしてきたことの本質をさらに掴めるのかもしれません。熱狂的なファンと、真理を実践することは別だと思うので。遍照金剛の意味する心、只管打坐の安楽の法門も、スッタニパータ【一切の生きとし生けるものは、幸福であれ、安穏であれ、安楽であれ。】に帰着するのではないでしょうか。それにしても中村元師の調査力、分析の誠実さが凄すぎます。

仏教について、用語、歴史、資料に基づいて綿密に客観的に「俯瞰」する本。

従って、この本自体がどこかの宗派の教義を紹介するとか、人を導こうという意図は全く無い。
それどころか、仏教をも相対化している。
仏教の教えを請いたいという目的には向かない。

仏教関係の本を読んで、微に入り細に入り過ぎて、訳分からなくなってきて、当初の目的がどこかへ行ってしまった時に(笑)、戻ってくる指標としてちょうど良い本。

こういう冷静な本って、宗教関係にはあまり無い、貴重なものだと思う。

中村元先生と三枝先生は、長年の苦労の成果をサラッと軽く述べてくれているが、この本が成立するためには、どれだけ縦横無尽に膨大な知的作業が必要だったのか、考えると怖い…

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