「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか の感想
参照データ
タイトル | 「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 開沼 博 |
販売元 | 青土社 |
JANコード | 9784791766109 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 原子力・放射線 |
購入者の感想
311前に書かれたのにもかかわらず、
その説得力や論理が311で全く揺らがなかったという点がまず素晴らしいと思います。
些末な点を挙げて低い評価をされている方がいますが、
「フクシマ」論というタイトルにつられすぎなのでは?
きちんと読めば、本書の中でも福島県が一様でないことにはきちんと触れられていますし、
本書の存在が「有害」であるというのは、誰にとってどのように「有害」かがわかりません。
また「アメリカの社会学の文献」が足りないと何が問題なのでしょうか。
研究対象と研究方法に適切な参考文献を選べばいいだけの話です。
戦後の日本における「成長」をテーマにした本書にとって、
必要な文献は網羅されていると思います。
(それこそ「論文」として考えるなら
これは「原発」の本ではなく、原子力ムラは研究対象です。)
若い研究者が、狭い学会内にとどまらないで、
少しでも多くの読者に向けて研究を発表するという意味でも、
本書の価値は大きいと思います。
この本が、一過性のブームの中で読まれるのではなくて、
長く読まれ、参照され続けることを願っています。
その説得力や論理が311で全く揺らがなかったという点がまず素晴らしいと思います。
些末な点を挙げて低い評価をされている方がいますが、
「フクシマ」論というタイトルにつられすぎなのでは?
きちんと読めば、本書の中でも福島県が一様でないことにはきちんと触れられていますし、
本書の存在が「有害」であるというのは、誰にとってどのように「有害」かがわかりません。
また「アメリカの社会学の文献」が足りないと何が問題なのでしょうか。
研究対象と研究方法に適切な参考文献を選べばいいだけの話です。
戦後の日本における「成長」をテーマにした本書にとって、
必要な文献は網羅されていると思います。
(それこそ「論文」として考えるなら
これは「原発」の本ではなく、原子力ムラは研究対象です。)
若い研究者が、狭い学会内にとどまらないで、
少しでも多くの読者に向けて研究を発表するという意味でも、
本書の価値は大きいと思います。
この本が、一過性のブームの中で読まれるのではなくて、
長く読まれ、参照され続けることを願っています。
戦前までさかのぼり福島県が原発立地自治体になった経緯がよくわかる。福島県は炭鉱や水力発電で日本のエネルギーに貢献してきた歴史があり、立地自治体になったのは偶然性もあるが必然性もあったのだろう。
「本書は原子力や原発それ自体の研究ではない。」「本書で解き明かしてきたのは、今日みられる地方の自動的かつ自発的な服従の歴史的形成過程だった。」とあるように、本書のメインテーマは中央と地方との関係。中央と地方との関係に植民地性や切り離し、排除・固定化、隠蔽などを見いだしている。
原発はメインテーマではなく、原発を通して上記のメインテーマに迫っている。従って、原発の問題点(事故の影響や核燃料サイクル、使用済み燃料問題)についての言及はほとんどないし、原発の是非について何か主張があるわけではないので、そこに期待して読むと物足りないだろう。ただ、インタビューや資料引用も豊富で、読み物としてはなかなか面白かったです。
原発の是非に関心のある者としては、原発の問題点に加え、立地交付金などの原発を支える制度面をしっかりと書いて欲しかった。原発による成長は、将来世代への抑圧の構図も持っている。今後は時系列の視点をもった研究に期待。
新自由主義、小泉改革、電力自由化への理解が浅いままイメージで語っている印象を受けた。
「現在少なからぬ地方が、新自由主義的な政策のもとで競争に放り出された状態にあるのだとすれば」「その実態が「地方同士が生存を求め合いなりふり構わない弱肉強食の闘争のなかに追いやられるあり方」になっていくことはこれまで見てきたとおりだ。」
日本は新自由主義的な政策をとっていると本気で思っているのだろうか?日本は、個人の面では競争社会になっているが、地域間競争という意味では日本はまだまだ社会主義的な国家である。地域、地方は自由な競争に放り出されていない。一長一短あるが橋下氏らが主張しているように地方が自立できないなど弊害の方が大きいのでは?
今後の期待を込めて3点。
「本書は原子力や原発それ自体の研究ではない。」「本書で解き明かしてきたのは、今日みられる地方の自動的かつ自発的な服従の歴史的形成過程だった。」とあるように、本書のメインテーマは中央と地方との関係。中央と地方との関係に植民地性や切り離し、排除・固定化、隠蔽などを見いだしている。
原発はメインテーマではなく、原発を通して上記のメインテーマに迫っている。従って、原発の問題点(事故の影響や核燃料サイクル、使用済み燃料問題)についての言及はほとんどないし、原発の是非について何か主張があるわけではないので、そこに期待して読むと物足りないだろう。ただ、インタビューや資料引用も豊富で、読み物としてはなかなか面白かったです。
原発の是非に関心のある者としては、原発の問題点に加え、立地交付金などの原発を支える制度面をしっかりと書いて欲しかった。原発による成長は、将来世代への抑圧の構図も持っている。今後は時系列の視点をもった研究に期待。
新自由主義、小泉改革、電力自由化への理解が浅いままイメージで語っている印象を受けた。
「現在少なからぬ地方が、新自由主義的な政策のもとで競争に放り出された状態にあるのだとすれば」「その実態が「地方同士が生存を求め合いなりふり構わない弱肉強食の闘争のなかに追いやられるあり方」になっていくことはこれまで見てきたとおりだ。」
日本は新自由主義的な政策をとっていると本気で思っているのだろうか?日本は、個人の面では競争社会になっているが、地域間競争という意味では日本はまだまだ社会主義的な国家である。地域、地方は自由な競争に放り出されていない。一長一短あるが橋下氏らが主張しているように地方が自立できないなど弊害の方が大きいのでは?
今後の期待を込めて3点。