自閉症スペクトラム親子いっしょの子どもの療育相談室 の感想

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　自閉症の子どもに療育を受けさせたい、と願う時、２つの方法が思い浮かぶと思います。１つは、自閉症の子どもに、直接、療育を実施してもらうこと。もう一つは、その療育を親や担任の先生も一緒に学ばせてもらうというやり方です。
　よく考えると、療育って、自閉症の子どもだけの責任ではありません。親も担任の先生も子どもと一緒になって、療育を受け、適切なやり方を学んでいかなければダメなんだと思います。そうすれば、適切な療育を家庭でも、保育園や学校でも実施できるようになって、より効果が上がります。
　著者の白石先生は、そのような「親子いっしょの療育相談」を長年実施されてきた療育相談の専門家です。その先生が個別療育の仕方や、家族をその気にさせる「いっしょの療育」の仕方について、たくさんのイラストや写真を用いて、惜しみなく、分かりやすく教えてくれます。あわせて、療育に欠かせない教材・教具の選定の仕方についても丁寧に教えてくれます。この本には、この「親子いっしょの療育相談」によって、自閉症の子どもとその親、家族が「変わった」（状態が改善した）ケースが１８例、具体的に紹介されています。年齢では、２歳から１３歳（中１）までで、状態はアスペルガー症候群から重度の強度行動障害までと、実に幅が広いです。
　お父さんをその気にさせる実践例やおじいちゃんおばあちゃんへの関わり方も大変参考になりました。療育を母親だけに負わせない！という白石先生のやり方にも大いに共感させられました。親御さんのみならず、保育士さんや学校の先生、児童発達支援センターの職員の皆さんにも読んでもらいたい、そして、是非、実践して頂きたいお勧めの本です。