新宿二丁目の女王 キニナルブックス 電子書籍 の感想

うさぎさんの私生活は何かと波乱を呼んでいますが、その中でもゲイとの結婚は強烈かと思います。
その結婚生活やそれまでのゲイとの交流から得た教訓をまとめた一冊。

ゲイへの意見は偏見や差別に繋がるものが多く、とっつきにくい本も多いですが、さくさく読み進めることができます。
また、一般論として語るのではなく、「実際に身近にいたこんなゲイ」というふうに体験談から色んな角度で切り込んでいきます。
ゲイを擁護するだけでなく、ゲイのここが許せいない！なども正直に書かれており、ゲイのありのままがわかるようになっています。
ノンケの男性、女性、それぞれとの立ち位置の違いにも触れているので、男性でも女性でもゲイでも読みやすいかと思います。

中村うさぎさんは私と同年代。良くも悪くも欲望のおもむくままに体を張って生きていらっしゃる。うらやましくもありますが、とても真似できるレベルではございません。大病を患い九死に一生を得てこのような文章にお目にかかれることを寿ぎたいと思います。
内容はとてもエグイです。でもここに嘘偽りは全くなく、あっけらかんとしているのが心地よい。オネエ様たちへの罵詈雑言は深い愛情から発したもので、少しも嫌な感じはありません。オネエの世界と女子校の共通点を語り、自虐と毒舌のバランスがそこで生き抜く人格を磨くという説には唸らされます。また、生殖に縛られない新しい家族制度の提案など、今後の社会のあり方に一石を投じるお仕事ともなっています。
読み始めは聞き慣れない専門用語（？）にとまどいますが、すぐに慣れてあっという間に読め、クスクス笑いつついろいろ考えさせてくれる良書です。