世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書) の感想

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参照データ

タイトル世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)
発売日2014-09-17
製作者中野 剛志
販売元集英社
JANコード9784087207552
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

本書はまず冒頭から「グローバルトレンド2030」を引用し、核心に触れる。アメリカ自身が、2030年までに中国が世界最大の経済大国となり、アメリカは覇権国家では無くなることを予測している、即ちどのシナリオも日本にとっては最悪であることを導き出す。
先の大戦は、グローバリズム、理想主義の失敗によってもたらされた。第一次大戦から第二次大戦までの理想主義の20年。そして今、冷戦が終わって20年が過ぎ、失敗が明らかに。その間の符合が怖ろしい。本書はそれを、E・H・カーの「危機の二十年」を繙き丁寧に解き明かす。
日米同盟は、歴史認識問題に対する今日のアメリカの反応から、未だ「ビンの蓋」理論(封じ込め)の色が濃い事がわかる。だとすれば、防衛力強化のための時間を稼ぐために日米同盟を深化させる事には期待出来ない。他方、アメリカの関与が後退しても(オフショア・バランシングを採用しても)、もはや日本が中国に対抗するには時すでに遅し、である。何故なら未だ国内は集団的自衛権の議論に象徴されるように、アメリカが覇権国であるという同じ前提を共有した上で未熟な議論をしているに過ぎないからである。
かといって中国が崩壊するのを望むならそれも間違いである。それはアメリカが東アジアから撤退する動機となり、中国を更なる対外強硬策に追いやる事に繋がり、一瞬先も予測出来ない緊張を招きかねないからだ。
「ロシアの怒り」は、不寛容な理想主義の押し付けによって拡張してきたアメリカの覇権主義の象徴的な綻びといえよう。
本書は右派、左派問わず一読の価値有りである。

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集英社から発売された中野 剛志の世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)(JAN:9784087207552)の感想と評価
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