絶対『英語の耳』になる! 音声変化リスニング パーフェクト・ディクショナリー CD3枚付 の感想

(2013.4.19増補)

最近の英語の学習書には、たいてい音声素材の入ったCDが付録でついており、ネイティブによる発音を聞くことができる。
しかし、そのような音声資料を使っていて、「早すぎて聴き取れない」と思ったことはありませんか？
あるいは、そんなネイティブの発音を、がまんして繰り返し繰り返し聞いているうちに、「どうも、書いてある通りには読んでいないのでは？」と気づいた人があるかもしれません。

そう。ネイティブさんたちは書いてあるとおりには、読んでいないのでした。

本書は、ネイティブさんたちがおこす音声変化について、典型的な音声変化の事例をアルファベット順に配列し、それぞれに２つづつの例文をつけた「音声変化」の用例集です。本書は、著者がいままで三修社から出版した「絶対『英語の耳』になる！」シリーズに登場した音声変化の用例をすべてまとめて収録したということで、用例数は1190、例文は2380。すべての用例・例文にネイティブの音声つき（CD３枚）。本書に収録された用例解説の特徴としては、

（１）音変化の歴史的変遷がわかる
（２）音変化のさまざまなバリエーションがわかる
（３）音声学的な解説も附されている

などで、私が実見した類書とくらべて、本書がきわめてすぐれている点です。

本書は、音声変化を母音や子音が消える「脱落」、連続する子音や母音が単語を超えてくっつく「連結」、となりあう子音が影響しあって音を変える「弾音化」、前の語の子音と次の語の母音が混じり合って別の音にかわる「同化」、「tn」が連続する場面で「t」が変化して生じる「声門閉鎖音化」などに分類し、本書で取り上げたすべての事例に対して、この分類による説明を付しています。

以下、類書のほとんどが取り上げる音声変化の実例のいくつかについて、本書のバリエーションや解説を紹介します。

　going to →　【ゴーイング・トゥー　→　ゴウイン_トゥー/ゴウイヌ/ゴウイナ/ゴナ】（p.88）
　　goingの[g]が脱落。さらに、弱化した to