最果てアーケード の感想
参照データ
タイトル | 最果てアーケード |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小川 洋子 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062176712 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者 |
購入者の感想
小川さんの独特な落ち着いた世界が展開されていると感じました。
著者独特の幻想的な短編集。
今回は、小さな小さなアーケードが舞台だが、その異世界は、私達の世界から眺めたものではなく、そこに暮らす「私」の目を通じて描かれている。
「幻想的」「異世界」と手垢のついた陳腐な言葉を使うしかないのが残念だが、実はこれまでの作品と比べると、本作で描かれるシーンの一つ一つはそこまで奇異なものではない。むしろ、決して長くない一つ一つの作品を丁寧に読むことで、まるで目の前にあるような、昔から長く通っているような風景が広がる。言葉が、小川洋子という稀有な作家の手を経ることで、かくも雄弁になるものかといつもながら感心させられる。
本作は、マンガの原作でもあるのだが、マンガという情報量の多い媒体をしてもなお、本作の方が多くのものを伝えてくれること。そういう楽しみ方も本作にはある。
しかし、そこまでに鮮明なシーンの果てに描かれるストーリーは、あまりにボンヤリとした様々な事象の境界にある。ラストに向かって次第に明かされていくことに、気付けば自分が誤読しているのではと不安になるような、だからこそ一層に言葉の一つ一つを丹念に読み込んでいく。それでもなお、どっちなんだろう?と思ったままに最後まで読んでしまう。実に不思議な気持ちだ。
各編が言葉と言葉、人と人でかすかにしかししっかりと繋がれながら、そう正に長年にわたり手をかけたレースのようにして紡いでいく一つのストーリーをしっかりと堪能していただきたい。
今回は、小さな小さなアーケードが舞台だが、その異世界は、私達の世界から眺めたものではなく、そこに暮らす「私」の目を通じて描かれている。
「幻想的」「異世界」と手垢のついた陳腐な言葉を使うしかないのが残念だが、実はこれまでの作品と比べると、本作で描かれるシーンの一つ一つはそこまで奇異なものではない。むしろ、決して長くない一つ一つの作品を丁寧に読むことで、まるで目の前にあるような、昔から長く通っているような風景が広がる。言葉が、小川洋子という稀有な作家の手を経ることで、かくも雄弁になるものかといつもながら感心させられる。
本作は、マンガの原作でもあるのだが、マンガという情報量の多い媒体をしてもなお、本作の方が多くのものを伝えてくれること。そういう楽しみ方も本作にはある。
しかし、そこまでに鮮明なシーンの果てに描かれるストーリーは、あまりにボンヤリとした様々な事象の境界にある。ラストに向かって次第に明かされていくことに、気付けば自分が誤読しているのではと不安になるような、だからこそ一層に言葉の一つ一つを丹念に読み込んでいく。それでもなお、どっちなんだろう?と思ったままに最後まで読んでしまう。実に不思議な気持ちだ。
各編が言葉と言葉、人と人でかすかにしかししっかりと繋がれながら、そう正に長年にわたり手をかけたレースのようにして紡いでいく一つのストーリーをしっかりと堪能していただきたい。