パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ) の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

「少ないイーストと長時間発酵のパン作り」で知られる高橋雅子氏の原点となる、志賀氏の本。
パン作りの理論を書いた本は沢山あるが、これまでのセオリーを外したパン作りの理論は逆説的で面白い。。
いわゆる、レシピ本ではないので、本書を読んでパンが作れる訳ではないが、本書を読めば、新たなパン作りが目指せるかもしれない。
また、彼は事業戦略家としての優れた面を持つ。
志賀氏の高加水パンの発想は元々、店の運営上の問題から作り上げられたものだが、これからの自営店のビジネス戦略にも役立つという。大規模店に出来ず、地域に限定されない高付加価値パン作りが彼の事業戦略であり、目指すべきだともいう。
また自分のパンは他人には再現出来ないと言い、彼にしか再現出来ないパンが結果として付加価値を生むともいう。リーンなパン作りは単純なレシピと製造方法であるが単純だからこそ奥が深く、経験とセンスが問われるということなのだろう。

パン作りのアマチュアから店を運営するプロの方々にまで役に立つと思う。