クズが聖剣拾った結果 (2) (電撃文庫) の感想

主人公のツッコミが優秀で、読者を笑わせてくれる。それに合わせて物語のテンポが良い。伏線の種明かしをちりばめ、主人公より先に読者に気がつかせる事により、主人公への応援となり、飽きさせない。そんな連続の物語です。そしてアニメで言う所のCパートのような、あとがき後の短編。充実してますね。

頭の中は100％ファンタジー、おかげで言動全てが色んな意味でファンタジーな事になっている
残念な少女と彼女に振り回されてボヤきつつも何だかんだと世話を焼く事になる少年の物語、第二弾

物語は異世界の公務員ニムとメルのやらかし＆陰謀劇の結果次元を飛び越えてしまった聖剣の
回収騒動が一段落ついて暫く後から始まる。元の世界に戻る方法がさっぱり分からず、途方に
暮れているニムとメルの二人に付き合わされながらも来栖と苅羽の二人は再び学園生活に戻る
相変わらずどうしようもない変わり物としてクラスで浮いている来栖は「一軍」と称される
クラスの中心女子たちにビビりまくるなど学校生活は上手く行かない様子。そんな中、学校の
七不思議の一つ、階段踊り場の鏡が異世界に繋がるのではないかと放課後に鏡の前に魔法陣を
描いて帰還魔法の実験中、「一軍」の一人である和佐単が忘れ物を取りに来て魔法に巻き込まれる…

聖剣や魔法が出てくるし、今回はニムとメルがやってきた異世界が舞台になるから一見すると
ファンタジーかと思われるのだけど、このシリーズは意外なほどガチンコなスクールカースト物
例えて言えば「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」的なクラスの中心であるリア充組と
クラスの中で浮いてしまっている底辺組の「生き方の違い」的な物語になっているのである

今回登場するリア充組の和佐単（かずさひとえ）は中々面白いキャラクターで残念娘の来栖に
「はあ？何わけの分かんない事ばっかり言ってるの？」と辛辣な態度を取るのだけど、その態度の
裏にあるのは「一軍」の中で最底辺であり無理してリア充たらんとしている事を見透かされて
リア充組の中で陰口を叩かれている微妙な立場なのである

中学時代に地味でイケてない存在であった少女が高校デビューでギャルを装いリア充の仲間入り
無理を重ねる事で余計に拗らせてしまった孤独に苛まれている…構図としては実に分かり易い
その一方で周りから「残念な子」と思われていながらもファンタジーが好きな自分を隠そうとも