坂口恭平 躁鬱日記 (シリーズ ケアをひらく) の感想

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参照データ

タイトル坂口恭平 躁鬱日記 (シリーズ ケアをひらく)
発売日販売日未定
製作者坂口 恭平
販売元医学書院
JANコード9784260019453
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

まだ途中まで。
坂口さんファンにはたのしい。
おもったより双極症については書かれてなかったので点数さげました。

僕は治ることを諦めて、「坂口恭平」を操縦することにした。(本文より)

路上生活者の暮らしを描いた『TOKYO0円ハウス0円生活』(河出書房)で脚光を浴び、独立国家を設立し新政府総理に就任した際の経緯をつづった『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)がベストセラーになるなど、数々の注目作品を発表してきた坂口恭平。そんな彼が、自らの躁鬱の波と共に、2013年4月から7月までの日々を記述した本が『坂口恭平躁鬱日記』である。

「躁のときには鬱の記憶が完全に取り除かれ、鬱のときには躁の活躍がまったく理解できなくなる」という作者は、躁鬱病を直すことをあきらめ、飛行機に乗るかのごとく操縦することを決意する。

本書の画期的な点は、躁と鬱、両方の日記を掲載しているところだろう。躁のあふれんばかりのイマジネーション。幼い娘を乗せて疾走する姿は、読んでるだけでのびのびと自由な気持ちになる。熊本の自然を織り込みつつ書かれる日々は瑞々しい。

一方で、鬱のときに書かれた『鬱記』の重い重い自責の念。そのあまりの重さに読んでいて少し気が滅入ってしまう。全く違う人間が「坂口恭平」という個人の中にいるようだ。しかし、読み進めていくうちに、躁と鬱は表裏一体であり、躁は鬱を支え、鬱もまた躁を支えていると感じてしまうから不思議である。

また、本書には、妻のフーさん、4歳のアオ、生まれたばかりの弦、の3人の家族も登場している。特に妻のフーさんは驚くようなおおらかさで彼を包む。「娘と息子に鬱状態の自分を見せたくない」作者が泣いていると、フーさんはこう言う。

「どうせ隠せないんだから、全部を見せればいいのよ。べつに私はなんとも思っていないよ。鬱のときのあなたも悪くないんだから」(本文より)

その逞しさに、作者だけではなく私たち読者も救われる。本書は様々な読み方ができる。躁鬱を操縦する苦悩の日記として、「坂口恭平」の当事者研究として、坂口家の家族ドラマとして。「躁鬱なんて自分には関係ない」と思っている人もぜひ手に取って欲しい本だ。

【Reviewed By Synodos/シノドス】

この本は、「坂口恭平」という超生命体と躁鬱の病を抱えて生きる人間のドキュメントだ。

坂口恭平は躁うつ病という病を抱えているが、その「病」という暴れ馬のプラスもマイナスも抱えた可能性を創造的に生きている。
彼の生き様を見ると、人間が潜在的に持つ可能性の深さや広さを感じ、絶望を凌駕する希望をも感じさせてくれる。

彼は、自分一人で独占するには余りある才能を持っている(「独立国家のつくりかた」では、自分だけではなく人間だれもが無尽蔵の可能性を持っているのだと、一人一人のオリジナリティーを高らかに提案していた)。
彼は「坂口恭平」というシステムを家族全体に預けている。時には社会全体に捧げている。自分一人で悩みや病いを抱え込み独占するのではなく、彼の周囲にいる人間みんなで「坂口恭平」というシステムをシェアしながら操縦していく。それが彼なりの病気の付き合い方であり、サバイバル指南書でもあると思った。彼は一般的な意味で病を治療する概念そのものを放棄したのだ。そして、独自に改変し再定義した。それは一人一人が自由に決めていいものなのだ。
「坂口恭平」という乗り物は、時には飛行機となり空を飛び、戦車となり道なき道をゆく。時にはガス欠となり動かなくなり、故障すると長期間の修理が必要となる・・・。躁鬱病とはそういう転変し続ける状態の言い換えでもある。

平均的な人間は自我(Ego)を持つ。自我は、思い通りにならない人生を調整してゆく機能として生まれる。受け入れがたい現実を受けいれるために、自我は体験を分裂させ、現実を投影し、置き換え、変形し、抑圧したりする。
「坂口恭平」は、病のためにそうした一般的な現実対応システムとしての自我(Ego)を持っていない。それはいいとか悪いとかではなく、彼の宿命や天命のようなものだ。彼は暴れ馬のような躁鬱の状態を創造的に生きることを、あるときに決めた。それがこの本で書かれれている「坂口恭平」という内部闘争の記録でもあり、人生という芸術作品の創造のプロセスでもあり、天然自然が与えた自然治癒のプロセスでもある。

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