そして、メディアは日本を戦争に導いた の感想
参照データ
タイトル | そして、メディアは日本を戦争に導いた |
発売日 | 2013-11-15 |
製作者 | 半藤 一利 |
販売元 | 東洋経済新報社 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
二人の昭和史の泰斗による対談です。メディアが昭和の戦争に果たした役割を縦横に論じています。
私は、軍部が報道を規制し戦争遂行にマスコミを協力させたと思い込んでいました。また、ジャーナリストも自らは軍部の圧力の被害者のように語っていました。しかし、事実は違っていたと両氏は指摘しています。日露戦争において戦争反対の新聞の部数はどんどん落ちたのに反して賛成派の部数は何倍にも増えました。これで戦争が売り上げを伸ばすことを学んだマスコミは、満州事変以降は積極的に戦争に協力するように転じました。軍部の圧力に屈したのではなく、自ら商売のために軍部と一緒になって走ったのであって、「ジャーナリズムはいざとなったら完全に国家の宣伝機関になる」と半籐氏は断じています。
しかし、マスコミの多数が軍部の協力に回る中にあって最後まで軍部に抵抗して言論を守ろうとしたジャーナリストがいました。両氏は信濃毎日新聞の桐生悠々と東洋経済新報社の石橋湛山を繰り返し讃えています。
保阪氏は昭和史における「権力側の囲み(弾圧)の構造」を紹介しています。
1.教育、2.法体系、3.暴力、情報の一元化 この4つの辺による囲いの中に人が閉じ込められてしまい、外へ出ようとすると弾圧された、との説明は説得力がありました。「だからメディア側は弾圧の正方形が形成されていないか、常に気にしている必要があるんです」(保阪氏)。
いまの日本の状況は戦前の感じに似てきているのではないか。日本をふたたび戦争の道へ歩ませてはならない。国民の負託を受けているジャーナリストは言論の自由のために闘わなくてはならないが、そのために歴史を学んで反動の動きに敏感になる必要があると両氏は主張しています。
秘密保全法が国会に提出されようとする時の本書の発行は時機を得ています。石橋湛山が闘いの拠点とした東洋経済新報社が本書を刊行するのは言論の自由に対する出版社としての姿勢の表明だと私は理解します。
私は、軍部が報道を規制し戦争遂行にマスコミを協力させたと思い込んでいました。また、ジャーナリストも自らは軍部の圧力の被害者のように語っていました。しかし、事実は違っていたと両氏は指摘しています。日露戦争において戦争反対の新聞の部数はどんどん落ちたのに反して賛成派の部数は何倍にも増えました。これで戦争が売り上げを伸ばすことを学んだマスコミは、満州事変以降は積極的に戦争に協力するように転じました。軍部の圧力に屈したのではなく、自ら商売のために軍部と一緒になって走ったのであって、「ジャーナリズムはいざとなったら完全に国家の宣伝機関になる」と半籐氏は断じています。
しかし、マスコミの多数が軍部の協力に回る中にあって最後まで軍部に抵抗して言論を守ろうとしたジャーナリストがいました。両氏は信濃毎日新聞の桐生悠々と東洋経済新報社の石橋湛山を繰り返し讃えています。
保阪氏は昭和史における「権力側の囲み(弾圧)の構造」を紹介しています。
1.教育、2.法体系、3.暴力、情報の一元化 この4つの辺による囲いの中に人が閉じ込められてしまい、外へ出ようとすると弾圧された、との説明は説得力がありました。「だからメディア側は弾圧の正方形が形成されていないか、常に気にしている必要があるんです」(保阪氏)。
いまの日本の状況は戦前の感じに似てきているのではないか。日本をふたたび戦争の道へ歩ませてはならない。国民の負託を受けているジャーナリストは言論の自由のために闘わなくてはならないが、そのために歴史を学んで反動の動きに敏感になる必要があると両氏は主張しています。
秘密保全法が国会に提出されようとする時の本書の発行は時機を得ています。石橋湛山が闘いの拠点とした東洋経済新報社が本書を刊行するのは言論の自由に対する出版社としての姿勢の表明だと私は理解します。