(un)Fashion の感想

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人々を見るような１冊です。当たり前のことですが、世界は広いということを、改めて知ることができる本。
まぁ、タイトルが打ち消しの意味になる“Un”付きなので、まるっきりのファッションのための本ではないようですが。

読んでいて思ったのは、ちょっとだけナショナルジオグラフィックみたいだなぁ、ということ。
高校時代、実家や在籍していた高校の図書館に置いてあり、それを暇つぶしで読んだ時の印象を思い出しました。
あくまで、暇つぶし中に思ったことであり、その時の印象なので、あやふやな部分もあるのですが、そういう風に感じました。もちろん、実際のナショジオとは相違点がたくさんありますし、路線自体がかぶっているわけではありません。
けど、そう思っちゃったんです。

写真を学んでいる方、報道写真に興味もあり、アートにも興味がある方には特に良いのではないでしょうか。
もしくは、高校生に読んで欲しいと思います。中学生でも良いんだけど。

一見の価値、一読の価値はかなりあります。あとは、対する読み手の好き嫌いぐらいじゃないかと思う。
おすすめです。

人は皆この世に裸で生まれ裸で死んで行くと、言われている。しかしこの写真集の作者(1999年 5月に他界したグラフィックデザイナー Tibor Kalman と 妻であり良きパートナーであった作家の Maira Kalman)は別の感慨を持っているようである。つまり生まれて死ぬまで、人は装って装って装い尽くすのだと言うのである。そうした彼等の思いが、頁を繰る毎に怒涛のように襲い掛かるのである。よくぞ集めたりと驚嘆させられる全世界に及ぶ人々の装う写真に、笑い、共感し、「そうかそうかそうなのか」と、彼らのセンスに打ちのめされ、一人一人を抱きしめたくなる。WORK と題する章の初めの写真（二人の煙突掃除人を撮ったもの）まで来て、私は胸がつまりやがて涙を流していた。それは彼らの着ている煤に汚れた黒い作業着が、どんな著名なオウトクチュールのデザイナーの作品より美しかったからである。つまりしがない庶民のしがない暮らしが一番美しいのだと、作者が主張していることが理解できたからである。缶詰の空き缶が、ブレスレットになることを知っていましたか？コテカは私たちが穿くブリーフやトランクスと同じであることを素直に認めることができますか？ホームレスの抱えるガラクタが実は貴重な財産であると同時に、ファションであることを、心底肯定できますか？様々な新しい発見に酔いしれるために、これから先、何度も頁を繰ることになるだろうと思うのである。