海賊とよばれた男 上 の感想

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参照データ

タイトル海賊とよばれた男 上
発売日販売日未定
製作者百田 尚樹
販売元講談社
JANコード9784062175647
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

百田氏のストーリーテラーとしての能力は素晴らしいものがあります。
この小説も、上下二巻の長編ですが一気に読めました。私が知らなかったことも多くあり勉強になりました。
ですが、読み終えて深い感銘を受けてから、引っかかることを調べていくうちに「ん?」と感じることがあまりにも多いことに気づきました。

永遠の0 (講談社文庫)
影法師 (講談社文庫)
といった、百田氏が上梓した「純然たるフィクション」と違い、この本は、実在の人物である出光佐三、実在の企業である出光興産を描いていると公にしている作品です。
ストレートに「出光佐三」といった題名にして、登場人物も全て実名にして、参考文献への脚注もつけた「史伝」のスタイルで書くべきであった、と思います。
※ 百田氏にそのような本を書けるのか、百田氏がそのような本を書くのか、という問題は別ですが。

すなわち、阿川弘之の
山本五十六 (上巻) (新潮文庫)

百田尚樹の新作である。出光興産の創始者である出光佐三の自伝的小説だ。国岡鐵造という名前になっており、かなり脚色されてはいるものの、大筋では歴史的事実に基づいているようだ。
出光佐三というと『日章丸事件』のみがクローズアップされるが、タイムカートなし、出勤簿なし、馘首なし、定年なしという絶対的『人間尊重』の個人商店(佐三の死後も近年まで、出光は株式上場をしていない)を貫き通した。しかも、石油関連会社でありながら、民族会社として日本人による日本人のための会社として、西欧の巨大石油会社からの役員、銀行からの役員すら受け入れないという自社叩き上げの社員で構成されたプロ集団を作り上げたのは、戦後の奇跡としか言いようがない。
彼の生き様を、まるで連続テレビドラマでも観ているように、読みやすい文章で淡々と綴られていく。現実も激動の時代であったとは思うが、非常に速いテンポで進んでいく。上下巻であるにもかかわらず、全く退屈することはない。どうしても、主人公の『人間尊重』『愛国主義』を表すエピソードが多く、下巻あたりでは、もう説明しなくていいよ・・・・と感じるくらいである。
その中でも遊びを忘れず、『永遠の0』を少し登場させ、史実ではないかもしれないが、私生活での前妻への思いまで織り込んでいる。こういう遊びがないと、単に自伝を脚色しただけで小説にならないところであるが、そのあたりは百田氏の面目躍如といったところである。
日本人が日本人としての誇りを失いかけた戦後の沈滞した空気の中を切り裂いて進むような人物に触れ、日本人として、『侍』としての生き方、誇りを考えさせてくれた作品です。
痛快ですよ。0

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