誰が「知」を独占するのか-デジタルアーカイブ戦争 (集英社新書) の感想

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タイトル誰が「知」を独占するのか-デジタルアーカイブ戦争 (集英社新書)
発売日2014-09-17
製作者福井 健策
販売元集英社
JANコード9784087207569
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » IT » ビジネスとIT

購入者の感想

もうひとつぴんと来ないタイトルかもしれない。しかし、かなり重要なテーマを扱っていることが読み進めるうちにわかる。「アーカイブス」。過去の文書、映像、音楽などの作品を収集し、保存し、公開する場所のことである。

ネットGoogle Books, YouTube, Amazonの電子書籍。ユーロピアーナ。MOOC。国立国会図書館の「電子図書館」。国立公文書館「デジタルアーカイブス」。NHKアーカイブス。デジタル技術の発達によって、今や多くの知的財産がITインフラのデジタル情報としてアーカイブ化されている。Line, Facebook, FC2もそういった対象になるといえる。その一方で、情報の囲い込みをめぐる駆け引きも激しくなっている。サーチエンジンにひっかかりやすいかどうかで目立ったりめだたなかったり、ビッグ・データによる分析ができるようになってきたのはいいがプライバシーや権利の問題が隣り合わせになっている。

一方、デジタルアーカイブは、「知のインフラ」として次の世代に貴重な遺産となる可能性も秘めている。豊かな作品をいつでも楽しめ、文化立国を支え、公文書などの情報の適切な保管は歴史の正しい継承をもたらす証拠となる。また、日本には、貴重な外交文書の記録や、映画や放送番組といったもので既に失われてしまったコンテンツがたくさんあり、例えば、かつて外務大臣を務めた記録魔のエコノミスト大来左武郎氏が遺したダンボール数十箱の戦後外交の文書は消えてしまったし、戦前の映画の残存率は10%に過ぎず、「ひょっこりひょうたん島」と「新八犬伝」の映像も既に99%が失われているという。過去のフィルムの中には、何とか残ってはいるが劣化や腐食が進んでいるものも少なくないそうだ。デジタル・アーカイブスは、それでもなんとか残っている過去の情報遺産を未来に伝える上で貴重な役割を果たす有力な手段となることが期待される。

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