21世紀の貨幣論 の感想

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タイトル21世紀の貨幣論
発売日販売日未定
製作者フェリックス マーティン
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492654651
カテゴリ » ジャンル別 » 投資・金融・会社経営 » 一般・投資読み物

購入者の感想

お金、ではなく貨幣論に関心がある人なら誰しも知的興奮を覚えるであろう良書です。 マネーとは何かと問われた時、経済学者を含む多くの人達は物々交換からの進化で、あるモノが選択され貨幣となり、更に金・銀となり…、という標準貨幣史から生まれる学説を当たり前のように語りますが、この「標準的貨幣観」実はが誤ったものだということをヤップ島のフェイ(石貨)を手始めに論じています。 
マネーは財のひとつなどではなく、誕生したころから「信用・決済のシステム」だったというものです。

意外なことに、DSGEモデルで難しい数学を駆使する経済学者を含めて金融関係者以外には余り知られていないようですが、
流動性があれば信用(貸借関係)はマネー。
流動性がなければ信用は単に二者間の信用。(本書p335)

圧巻なのは12章「マネーを忘れた経済学」と13章「正統と異端の貨幣観」です。 2011年4月にオバマ政権を去ったばかりのローレンス・サマーズがリーマン・ショックの経験で、マクロ経済学・金融理論が現実と乖離しているかと問われて「第二次世界大戦後の正統派経済理論の膨大な体系が、危機対応ではまるで役に立たなかった」と述べました。 金融システム危機に際してサマーズが参考にしたのはウォルター・バジョット、ハイマン・ミンスキー、チャールズ・キンドルバーガーといった正統派経済学の枠組から外れた経済思想家とケインズでした。
 これら時代を異にするバジョット、ケインズ、そしてこの本の著者フェリックスマーティンら少数の人々はいわば「異端の貨幣観」を持ち、ジョン・ロック、セイ、ジョン・スチュアート・ミルらが形作った「貨幣も商品のひとつ」とする現代経済学に続いていく「標準貨幣観」の欠陥を指摘しています。 

そしてこのように結論します。
”新古典派理論が金融抜きのマクロ経済理論を構築したのに対し金融論は金融債券とマネーシステムの重要性を無視することでマクロ経済抜きのファイナンス理論を構築した。”

現代マクロ経済モデルとファイナンス理論とに決定的に欠けるのは信用の特性としての流動性の概念です。
異端の貨幣観を持つ筆者はこうつぶやきます。「経済学はマネーを無視している」と。 

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