終生ヒトのオスは飼わず (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル終生ヒトのオスは飼わず (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者米原 万里
販売元文藝春秋
JANコード9784167671051
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » や・ら・わ行の著者

購入者の感想

 動物たちは寿命が人間よりも短いからどうしても飼い主は飼われる動物たちの
死を多く経験する。ペットロスの悲劇もよく耳にする。しかしこの本では逆に、
死にいく飼い主に寄りそう動物の物語が語られる。いや私たちは米原万里の死を
知っているからよけいそう感じるのかもしれない。

 2003.10  母、美智子亡くなる。万里にがんが見つかる。
 2006.05  万里、鎌倉にて死去

 この本はこのあたりの米原万里をとりまく動物たちの物語である。万里にとって
動物たち(犬・ねこ)はペット(=愛玩動物)ではない。家族そのものである。
自分の血を分けた子供たちである。とりわけ万里の不注意から行方不明になった
忠犬ゲンのエピソードが涙をさそう。それにしても米原万里の文章は見事だな。
動物が相手でも手を抜かない。ちゃんとその個性を的確に描写する。万里の死後に
これらの犬や猫がどうなったかもちゃんと載っている。安心した。

 この本の後半は、米原万里の生い立ちや政治的なエッセーがついている。
米原万里が14年間共産党員だったとは知らなかった。

 ・・結局、共産党には14年間いましたが、その「査問体質」を知ったのは、
  収穫だと思います。無謬主義って、自信の無さの裏返しなんですね。・・

原発村にせよ霞が関の官僚にせよ権威はどうして無謬主義が好きなんだろうか。
 

 米原万里家の動物記+家族史。2001年の”ヒトのオスは飼わないの?”の続編みたいな後日談みたいな感じ。犬柄がよいけど、雷が大嫌いで行方不明になった”げん”。げんと似ている?淑女のノラなどなど、個性あふれる犬ネコ達。彼らとの日常が生き生きとかかれている。写真も面白い。ノラの塀越え、ソーニャのダクトのぼり、亡くなった無理の写真を眺める道理、、ものすごく表情があって、やたらにヒトくさい。秘書さんが書かれた、万里さん亡き後の、毛深い家族のなりふりにはしんみりした。

付随みたいな感じで、米原家の歴史もかかれている。食は3代っていうけれど、万里さんのユーモアと知性もこのひと一代のものではなかったようで、その辺も随分興味深くよんだ。

 初めての”米原万里”には向かないけれど、他の著作が好きな人には、いい本だと思う。

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文藝春秋から発売された米原 万里の終生ヒトのオスは飼わず (文春文庫)(JAN:9784167671051)の感想と評価
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