始まっている未来 新しい経済学は可能か の感想

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タイトル始まっている未来 新しい経済学は可能か
発売日販売日未定
製作者内橋 克人
販売元岩波書店
JANコード9784000244503
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

 先日亡くなった宇沢弘文氏の本として読了。定性的でやや説得力に欠ける感じでした。

小生の印象に残った点は以下です。
・竹中平蔵は、日本開発銀行/設備投資研究所時代に、同僚の研究を盗用して本にした。竹中は学者ではない。
・米国に60年代に日本から留学した"経済学者"には盗作者が多く、日本の政治/社会は米国の経済学者から侮蔑されるようになった。
・新自由主義のフリードマンやその弟子は、暗殺を礼賛した。
・米国がその植民地である日本に、630兆円(海部政権で430兆円+1994年に追加200兆円)の公共投資を、経済生産性を高めないように行うことを無理強いしたのを受け、日本政府はそれを地方に押し付け、地方はレジャーランドのようなものしか作れず、夕張のような巨額負債が生まれた。地方交付税でカバーする筈が、小泉政権がそれをカットしたため、地方自治体が苦しんでいる。
・オバマは、人間の知性と良心を象徴するスティグリッツを経済政策者の中心に据えると思ったら、「公害被害はL.Aなら3万ドル/人だが、マニラなら3百ドル/人だから公害は低開発国に」と発言して世銀チーフエコノミストを罷免されたラリー・サマーズとその部下のティモシー・ガイトナーを登用したのには、がっかりした。
・ドゴールは、一家に自動車一台を目指してフランスの旧市街を破壊した。
・資本主義は、社会的共通資本を排除するので、自己崩壊してしまう。

 名著「アメリカの大都市の死と生」(ジェイン・ジェイコブス)への言及もありました。教授会による自治がない"大学"しかなく、殆ど御用学者しかいない日本の中で、背筋の通った貴重な方だったのだと思います。

 本書の主となる月1回、計4回の対談は、市場主義を信奉する経済学者たるシカゴ学派のリーダーとして、ノーベル賞受賞者を含め多くの経済学者を育てたフリードマンと、竹中など疑似フリードマン的な者についての類似性や解説、人間の知性と良心を象徴する宇沢経済への道筋について語られている。

 フリードマンは、あらゆる市場への規制は排除されるべきであり、米一極体制による平和(パックス=アメリカーナ)を守る為に、水爆を使うべきだと、狂信的に主張し続けた。
 そのような米の傘の下、植民地として、年次改革要望書を従順に遂行し、規制緩和や630兆もの経済生産性を高めない公共投資を、地方債を発行する事によって行い、地方を借金漬けにしてきた日本。
 そのようにこの国は奴隷頭たる国内の新自由主義者によって、21世紀を迎えてから、多国籍企業ありきの経済へと加速度的に邁進し、そのツケが、今まさに多くの地方にのしかかっている。

 補足としての農についての対談、環境・医療・教育・都市計画などについての短いコラムも併せて、今の社会で失ったもの、失いつつあるもの、かけがえのない大切さ、正しさを再認識し、人間らしい経済、オバマの言う「あるべき未来」へ向けての思索を深めてくれる良書である。

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