記号論理入門 (日評数学選書) の感想

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タイトル記号論理入門 (日評数学選書)
発売日販売日未定
製作者前原 昭二
販売元日本評論社
JANコード9784535601444
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 数学 » 一般

購入者の感想

本書はまさしく、記号論理学、数学基礎論初学者のための教科書である。
本書の特質は懇切丁寧。これに尽きる。
これを通読してさっぱりなら記号論理学は諦めた方が良いと思う。
が、多分さっぱりということはないだろう。それくらい易しい。
前半で各記号の定義と証明図の説明がある。
証明図を読み書きできるようになることが、本書の主な目的のようにおもう。
だから問題も全て解こう。
ヒントと回答まで付いているし、難易度も高くない。
本書では命題の真偽を扱う命題論理が主なテーマとなる。
命題の中の変数まで扱う、述語論理より簡単だからである。
述語論理の話もなくはないがドモルガンの定理までの話しかないため、
やはりほぼほぼ命題論理の教科書なのである。
白眉は付録になる。
付録1が命題論理の無矛盾性の証明。
付録2が直観主義論理と古典論理の違い。
付録3が命題論理の完全性の証明。
いずれも理解するのは簡単であるし、初学者には興味深い話だろう。
付録1の無矛盾性の話は当然『ゲーデルの不完全性定理』と関係があるし、付録3の命題論理の完全性の話は、『ゲーデルの完全性定理』すなわち一階述語論理の完全性定理の前哨戦にあたる。
読み終えたら、やはり前原の『数理論理学序説』に進み、
基礎事項の確認ともう少し数理論理学の基礎知識を身につけ、
ゲーデルの不完全性定理の証明に重きを置く、同著者の『数学基礎論入門』にかかってはどうだろう。
というか私がそうだったのだが。

この本(初版)のおかげで、「ブルバキ数学原論」を
抵抗無く読み始めることができました。そのおかげで、
通常の教科書にある不明確な定義や記述に悩まされず、
短期間にかなりのレベルの数学まで学べました。

多くの数学教科書にみられる怪しい(誤り?)定義などは、
論理記号を用いてあらわすと誤りが明白になります。
(例えば、「新しい論理序説(本橋著)」には
多くの数学専門書にある紛らわしい表現や誤った定義
の具体例とその修正が詳しく解説されています。
この本は、本書とは異なった切り口で、論理が学べる
良書と思います。)

初版を読んだ時は(未熟だったせいか)気付かなかったのですが、
現刊の「新装版」を今読んでみて、少し気になることは、
「第8章§3.」の最後の注意で
「任意の集合を対象領域として指定することはできるが、
ただし、それは空集合であってはならない」
という記述の仕方は(本文を注意して読まないと)誤解を生むと思う。

この対象領域は一階述語論理の体系で扱う「一般の述語」に関することで、
(一階述語論理の体系では、∀xF(x)→∃xF(x)が導かれるので、
述語Fの対象領域は空ではない。)
個別の(数学)理論では、
定義域(対象領域の部分領域)が空集合である「特定の述語」も考える。

例えば、集合論では定義域が空である関数(空関数)も考えます。
上記の述語の対象領域に関する注意を誤解して集合論にあてはめると、
「定義域が空な関数は考えない」または「定義域が空な関数は無い」
という、誤った発想が生まれる可能性がある。
(この錯覚は、下記[1]によると国際的であるらしい。)
正しくは、
「定義域が空な関数は存在して唯一である」
このことは空集合と関数(グラフとして)の定義から明らかなのですが、
[1] 層・圏・トポス(竹内著)
には、正しい説明(証明)が載っています。

なお、「はしがき」に

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