アルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由 YS001 (ヤマケイ新書) の感想

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参照データ

タイトルアルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由 YS001 (ヤマケイ新書)
発売日販売日未定
製作者山野井 泰史
販売元山と渓谷社
JANコード9784635510073
カテゴリ » ジャンル別 » スポーツ・アウトドア » 登山・ハイキング

購入者の感想

気になって気になって、つい手にとって、作業をそっちのけで読んじゃいました。1980年代から同じペースで歩き続けてこられた山野井さんに、とりあえず乾杯。自分の生き方と比較して、生涯をかけて取り組める課題を失わずにこれた彼の生き方には嫉妬を超えて、素直な尊敬の気持ちを抱かざるをえません。生涯の課題を得られた幸運、そしてそれを我が物としてがっちりと掴んできたひたむきな努力に敬意を表したいと思いました。自分は40代半ば超えで山歩きをはじめましたが、生きている間は山と触れ合いながら生きて行きたいです。奥多摩はよく歩くので、どこかでお会いしましょう。

 著者は1965年生まれ。評者の長男が1963年生まれ。長男は登山はしない。したとして、著者のように単独行、あるいは少人数で超の付く高山を無酸素で、しかも壁を登るといった「冒険」をどのように受け止めるだろうか。「やめとけ」か。さらには日常、職業を持つこともなく暮らすとして、ひとこと言わずに済むだろうか。
 山野井泰史氏の父親の知人に本書を贈られた。
 第一章から二章、三章と読み進め、「山での死」の節の直前に文体が変わった。と同時に、著者の鮮烈な思いを読まされた。「山での死は決して美しくない。でも山に死がなかったら、単なる娯楽になり、人生をかけるに値しない。」
「アルピニズム」とは何かと思った。広辞苑は「登山。特に、山に登ること自体を目的とする近代的な登山」と。机辺にある他の国語辞典には載っていない。WEBには種々の解説がある。総じて単なる遊びではない登山を言うようだ。「イズム」とあるのだからそうだろう。
第6章の最終節に「アルピニズムについて」があり、WEBで著者が書いてもいる。
書から一節を引いてみる。「自然を愛しているからという理由だけで踏み入れるのではない。まして自己表現のために高みを望むのでもない。/限界線から一歩踏み出すたびに、生命が躍動した。安住できる土地を離れ、不安や孤独を感じながらも、克服することがより困難で切り立った場所に向っていった。/同じ領域では満足できなかった。」(182頁)
 今、登山を楽しむ人が多くなっている。著者は、そうした現状に、「アルピニズム」は失われつつあるのかと問いかけている。出来る限りの準備をし、慎重に歩みを進めて限界に挑戦し、乗り越えた時に生きている喜びを感じる。その純粋さが「生」というものではないかと問いかけているようだ。
 僕のような高齢者であっても、山野井泰史氏には及ばないものの、生きることに精一杯努力することで喜びを感じる「生」を営みたいと読了後に思った。
 本書は、ぶきっちょに生きる人生修験者の記録かもしれない。山登りをしない人にも、人生の在りようを思うよすがになるかと思う。

山へのひたむきな気持ちと姿勢。前作『垂直の記憶』同様の鮮烈な印象、
本作でもクライマー・山野井泰史氏の言葉は私の胸に突き刺さりました。

求道者の様な意志と眼差しの反面、無邪気な少年の心も生きています。
ただ憧れますね。

本書の構成と章のタイトルを目次より下記の通り一部抜粋・転記します。
 はじめに
 第1章 「天国に一番近い男」と呼ばれて
 第2章 パートナーが教えてくれたもの
 第3章 敗退の連鎖
 第4章 2000年以降の記録より
 第5章 危機からの脱出
 第6章 アンデスを目指して
 あとがき
 山野井泰史 年譜

本書のタイトル「アルピニズム」。何処か「骨董」的で寂しくも感じてしまう。
現在の日本で山野井氏以外に語り、伝えてくれる人が他にいるでしょうか。

多くの山の「戦友」から、過酷な岩壁や氷雪から、(常人は死ぬ)事故から、
氏は驚くべき吸収と研鑽を続け、マイナスの状態から立ち上がって来ます。

精神、肉体、技術、経験、感覚等どれも突出。一番は冷静な思考・判断か。
極限状態にあり、環境と自分の状況を的確に捉えて動ける・・・・驚異の人。

私は峻烈な登山とは無縁ですが、入念な準備、慎重な行動を心がけます。
常に危険を想定しながらの山歩き。思考に加え想像力が大事と思います。

本書に共感や畏怖?を感じつつ、多くの事を教えて頂いたと感じています。
(山を志す方は読むと思うので)山をやらない方もお薦めな、登山家の本。

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