夜の日本史 の感想

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「信頼できない”文献”と信頼できない”正史”を織り交ぜて偉人の”もうひとつ”の顔に迫ったもの」と著者が述べている通り、偉人たちの裏の姿が次から次へと続きめくるめく裏日本史が展開されていきます。
シモネタやエログロなお話をこれでもかこれでもかと集めた著者の執念に頭が下がります。
しかも、どれもきちんとそのネタの出典が示されていて、『古事記』『日本書紀』や当時の人の日記などの一級史料はもとより、時代を経てどのように伝承されていったかを示す文献も明らかにしている点に感心します。これらは原文を示した上でわかりやすく現代語訳を載せて解説しているので、信憑性があり説得力もあります。
後白河法皇が作者とも言われている『小柴垣草子』を取り上げて、「漫画やゲームのエロ描写を規制することばかり考えている現代の政治家は、法皇の姿勢を見習って欲しいものである」と述べ、ここに著者の主張を覗かせています。
歴史上の人物の裏の顔をのぞいて溜飲を下げるもよし、各時代ごとの価値観の違いを知るもよし、世の中は変わったけれど人の営みは変わらないなあと感慨に耽るもよしです。