神様のカルテ 3 (小学館文庫) の感想

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参照データ

タイトル神様のカルテ 3 (小学館文庫)
発売日2014-02-06
製作者夏川 草介
販売元小学館
JANコード9784094060188
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » な行の著者

購入者の感想

信州の自然の美しい描写、同僚の医師や看護師達・細君のハルや御嶽荘の住人達との軽妙な会話は、巻1・巻2に続いて健在であるが、巻3では
主人公栗原一止の医師としてどうあるべきかという問いかけが、より真摯になされています。
それは小幡奈美という女医の登場によって、「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」「医者っていう仕事はね、無知であることがすなわち悪なの」という意見との対立と葛藤を通じて、鮮明に描かれています。
ある老人の膵臓良性腫瘍を癌と診断し、手術を施行させたことから、患者の家族や病院事務局との対立を生むが、いつしかその女医と同質の考え方に到達していることを自覚し、もう一段高いレベルを目指そうとして、本庄病院を去り大学へ行くことを決意する。

最初は軽い話から始まって読みやすいが、それらを重ねていくうちに次第に本巻のテーマが浮かび上がってきて、しかもその合間に現場の臨場感とかハルとのほほえましい夫婦愛とかが散りばめられていて、重苦しくなく清涼感があります。小さな水の流れをつないで、ひとつの大きな川に合流させる作者の文学的な手法も確かで、医者としての業務と両立させている事に感心いたします。一止が草枕を愛読しているというのも分かるほど、自然の描写も美しく巧みで、会話は機知に富み、文体には古風な格調の高さがあります。

読み始めると一息に読み終えるほど面白く、また読み終わった後何ともいえない感動と味わい深さ、もう一度読みたくなるような魅力のある作品
(3巻とも)だと思います。苦しいとき、うちひしがれた時に何度でも手にとって読み返したくなるような力を備えた作品群だと思います。
夏川草介さんには、この後も大学病院での問題点、人間関係などを書いて、巻4、5と続けていっていただきたいと切に希望いたします。

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