しにこん!1 ―死と婚活の巫女は理想の勇者とゴールインしたい― の感想

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タイトルしにこん!1 ―死と婚活の巫女は理想の勇者とゴールインしたい―
発売日2014-10-15
製作者ぶんが秀徳
販売元KADOKAWA / エンターブレイン
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購入者の感想

Kindle版で読んだのですが、表紙だけじゃなく、口絵や付録も拡大できるようにしてほしかった。この本に限らずライトノベルのKindle版は皆こんな感じなのかな?
マリアベルの肉食系の信仰心が読んでて楽しかったです。

なぜだ? と疑問に感じ、書籍も購入してみました。
電子版と書籍版の比較レビューにもなっているので、長文になります。

実際手に取ってみると、カバーに透明素材が採用されていて、カバー裏に描かれたぺろぺろの部分が透けて見えるギミックになっているのがわかります。
この、透明カバーの質感を再現しようとして薄暗い色になったのでしょうが、電子版では再現しようがないギミックなので、明るい色の画像でよかったと思います。

また、本文にも仕様上の問題か、電子版では再現しきれていない部分があります。
書籍版では主人公の内心はフォントを変えて表現されているのですが、電子版ではそのような変更がないので、若干わかりにくいかもしれません。
原作?とでもいうべきウェブ版も見てみましたが、そちらでは内面の妄言セリフは( )でくくられていました。電子版もそちらに合わせてよかったのでは。

肝心の内容に関しては、全体の構成が面白いと感じました。
主人公マリアベルは死の神の巫女の家系、という家柄の問題から、婚期を逃した親族をたくさん見てきたせいで、婚活に執念を燃やす少女です。
葬儀屋の娘が、不吉だと敬遠される感じだと思えば、わかりやすいでしょうか。

そんなマリアベルの前に現れたのが、死の神の勇者を目指す少年、アベルカインです。
強く、生真面目ながら、力を求め、神への供物として、自分の眼と腕を躊躇いなく差し出すような危うさもあります。
この物語の、ハードでシリアスな部分を一身に背負っているといっても過言ではありません。

マリアベルはアベルカインを未来の夫にすべく、あの手この手で挑みかかります。
単純な色仕掛けを殆ど行わず、生真面目な勇者の好みに合うよう、清楚な巫女として振る舞いつつ、自然な接触を実現していきます。
盲目的に恋するのではなく、アベルカインが短所である危うい部分を直すよう叱りつけることもあります。

ここでポイントなのは、作中にも、死の神メメントモリというツッコミ役が配置されていることです。

主人公はステキな勇者様とゴールインすることを目指す巫女。
しかし、ガツガツしているのが外に見えてはならない。あくまで巫女としての責務を全うし(てるフリをし)つつ、勇者様の尊敬と愛を我が物にしようともくろむ。
見た目は清純派、頭脳はまっピンク。それが主人公のマリアベルの正体。
この本は、マリアベルの見た目と中身のギャップに腹筋崩壊するほど笑い転げているうちに、いつの間にか責務を全うする旅路が進んでいるという物語。同時に、笑い転げているうちにマリアベルの魅力にどっぷりハマることになるでしょう。オススメです。

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