ドラッカー名著集9 「経済人」の終わり の感想

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参照データ

タイトルドラッカー名著集9 「経済人」の終わり
発売日販売日未定
製作者P・F・ドラッカー
販売元ダイヤモンド社
JANコード9784478001202
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

オリジナルは1939年リリース。邦訳初訳は岩根忠訳で1963年。ドラッカー29才の時の処女作である。と言うより、1933年、自ら発表した論文がナチスの怒りを買うことが間違い無いと判断し、母国と職を捨てアメリカに渡り、命がけで出版したのが本作である。そういう意味で本作は他のドラッカーの著作と『同等』に考えることはできない作品だ。

ドラッカーは元々、ウィーンで裕福なドイツ系ユダヤ人の家庭に生まれている。1929年には、ドイツ・フランクフルト・アム・マインの『フランクフルター・ゲネラル・アンツァイガー』紙の記者になり、1931年にフランクフルト大学にて法学博士号を取得している。このころ、国家社会主義ドイツ労働者党(所謂ナチ党)のアドルフ・ヒトラーにインタビューが許可されている。その中1933年に発表した論文がユダヤ人を嫌うナチ党の怒りを買うことを確信し、退職しイギリスのロンドンに移住している。そこでケインズの講義を直接受けるとともに、イギリスの投資銀行に勤めている。1937年、同じドイツ系ユダヤ人のドリス・シュミットと結婚し、アメリカ合衆国に移住しているのだ。

つまり、この本はドラッカー自身のファンダメンタルを知ることができる唯一の著作と言えるだろう。ドラッカーのファンダメンタルにはナチズムとファシズムを自分の眼で見たという事実があるのが分かる。ヒトラーには自身でインタビューし、その演説を自分の耳で直接聞き、群衆の変化の様を見続けていた。そして、自らが『神』となる一方で、ヒトラーが『敵』として差別的にユダヤ人を設定していく手法を眼の当たりにした。それがドラッカー自身の『根』になっているのが理解できる。

一方で事象を経済学的に分析する方法論は既に健在で、ナチズム・ファシズムですら経済的に分析してみせる。そして政治家たちの手法を次々と分析してみせる。それはヒトラーやムッソリーニだけではなく、それに相対していたチャーチルの手法についても詳細に分析している(68ページ)。こういった内容が、当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルが激賞(1939年5月27日付の『タイムズ』。巻末に付録として掲載されている)につながったのだろう。

 マネジメントの父として名高いドラッカーの原点が知れる書。
 戦争と世界恐慌の中で絶望した大衆を、社会主義は全く救うことが出来ず、ファシズムが台頭
していく時代にあって、この書がチャーチルを奮い立たせ、結果的に世界を救うことになる。
ドラッカーの問題意識が、若い頃から、企業をうまくマネジメントして金を儲けると言ったレベル
になく、理想的な社会はどうあるべきか?という点にあることが良くわかる。訳者の上田氏が
述べられているように、ドラッカーは現代社会最高の哲人と呼ぶにふさわしい。
 『仕事の哲学』『プロフェッショナルの条件』『経営者の条件』など、セルフマネジメントを教えて、
元気付けてくれるドラッカーから読み始めましたが、この書を知って、ますますその魅力に引き込まれて
しまいました。エターナルコレクションを全冊読もうという気にさせるインパクトがある書です。

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