孔子 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル孔子 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者金谷 治
販売元講談社
JANコード9784061589353
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

孔子の思想と歴史的な生涯を書いた最も重要な資料は論語と史記とされています。多くの思想家・宗教家を理解するには原典をあたるのが往々にして一番ですが、こと孔子にいたっては論語は系統立てて書かれておらず、しかも短い句に深い意味がこめられており、解説なしには難解です。また、史記も伝説が含まれていることは知られています。一方、孟子や荀子にも孔子の理解に不可欠な一級資料があります。本書は、そうした諸本に熟知した筆者が、歴史的孔子像と後世になって作られた孔子像をあきらかにしていきます。よって、論語だけでなく孔子に触れている多くの本の正しい位置づけが理解できます。孔子の生涯と人間性(意外にユーモアがあります)、思想の核になる仁や天の解説、儒教の歴史が詳しく解説されているのに加え、論語の重要な章をトピックごとに並び替え、書き下し文とその詳細な解説が、時には孟子などの参照箇所も示した上で書かれています。論語の原典の通読を考えておられる人には、その前に是非、一読を薦めたい一冊です。解説はわかりやすく、たとえば“忠“という字は中と心からできており、つまり内なる心がまごころである良心であり、”信“は人と言が組み合わされてできた字で、つまりは人のことばに関係して外にあらわれたまことであるとしています。さらには、このことより、”外の形にあらわれた信を内省的に求めた結果として忠は得られるので、忠は信より一歩進めた徳であると解説がなされ著者の深い洞察が示されます。中国と日本の儒家とその他の思想史を熟知する著者は、たとえば“道義的な意味のこめられていることが、法と区別される礼の特色“といったように、それぞれの学派を儒教との関連において、的確に思想的・歴史的な位置づけをしていきます。これは研究の進んだ現代の学者であればこそ可能なことで、思想的にも日中の歴史上の大思想家を超えた深い哲学が随所に勉強できる、他書の入門書という枠を超えた、この本自体が名著と言われてしかるべきものとなっています。

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講談社から発売された金谷 治の孔子 (講談社学術文庫)(JAN:9784061589353)の感想と評価
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