別冊正論22号 大解剖「靖國神社」 (日工ムック) の感想

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タイトル別冊正論22号 大解剖「靖國神社」 (日工ムック)
発売日2014-10-08
販売元日本工業新聞社
JANコード9784819150897
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

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発売元は日本工業新聞社となっているが、『正論』は産経新聞社のオピニオン誌だから、この『別冊正論』も編集しているのは産経新聞社のスタッフである。「朝日」と犬猿の仲の「産経」となると、読まない前から論調の基軸がどのへんにあるかは、想像できる。冒頭の対談には、カトリック教徒でありながら神道政治連盟の主要メンバーになっている山谷えり子氏が登場し、後半には靖国神社支援で有名な新宗教教団・佛所護念会教団の副会長も登場するとなると、宗教的にも「神道は個々人の信仰が何であれ日本人として守るべき国民道徳」といった考え方を重視しているであろうことは、もちろんわかる。

ただ、「靖国問題」といえば「中・韓二国が不当ないちゃもんをつけたことから始まった外交問題」といった近年の一般的受け止め方の中で、「そうしたいちゃもんへの反論を書く」というのが靖国支持派の立論の主柱になりがちな今日にあって、そこからは一歩距離を置いて、靖国神社に深い思いを寄せている人々が、慰霊・顕彰の場としての靖国神社を具体的にどう受け止めているかに焦点を合わせた今回の企画は、それなりに意義がある。高齢化する日本遺族会の継承問題が取り上げられる一方、靖国神社に奉職してまだ五年という若い神職の就職動機や日々の仕事ぶりが紹介されていたりして、抽象論議ではない現場の声が伝わってくるのも、一読の価値がある。スポーツジャーナリスト(元マラソン選手)増田明美の参拝・拝観ルポも新鮮味があった。

ただ、「顕彰か慰霊かの問題はつくづくむずかしいなあ」と思わせられた一場面があった。作家・歌手の合田道人が、「みたままつり」の奉納歌謡ショーの司会をしていて、ごく自然な気持ちで「お国のためとは言いながら、白木の箱で帰る息子を心底喜ぶ母などいるはずがありません。二度と戦争が起こらぬようにと願いを込めて……」と言ってしまったあと、直会の席で、本当はそういう言い方はご祭神に対して失礼にあたるのだと同年輩の神職たちから咎められ、なるほどと反省した結果として、今のように活動していると、みずから告白している場面だ(61ページ)。

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