東方イラストメイキング録 (100%ムックシリーズ) の感想

表紙絵のキャッチーさとメイキングという点に惹かれて購入しました。

装丁について
まず本の大きさが通常のメイキング本よりも大きいことで、イラストが
引き立っています。中身のデザインも本文の邪魔にならない程度に
センスよくまとまっています。

イラストについて
好みもあると思いますがキャラ棒立ち、背景ベタ的な人は少なく、
シチュエーションや小物にこだわるタイプの人が多いです。
絵柄もさまざまで、色んな人のニーズに応えると思います
色使いの美しい作家さんや、表情の上手な作家さんを新しく発見しました。

メイキングについて
イラストの後に各工程ごとに作家さんが説明を入れていますので
文章の多さや分かりやすさが人によって異なります。
初心者の方に優しいかどうかは分かりかねますが、
一作家さん一人ひとつの技術を得たとしても人数が多い分、得だと思います。
作風が多岐にわたっている為、普通のメイキング本だと見られない方の
メイキングも魅力的です。

付録ＤＶＤロムについて
メイキング解説は本に載っている途中経過の画像をjpegにしたものです
ＰＳＤファイルは容量のせいもあると思いますが、完成までのレイヤーが
全部未統合な訳ではなく、人物彩色レイヤーは統合されていたり、
人物+背景レイヤーの上に加工レイヤーがある状態だったりします。
この状態ならばせめて全作家さんのＰＳＤファイルがあっても…というのが不満です。

全般的に本は満足、付録はあんまり…といった感じですが
本だけでも十分楽しめます。

同人サークル「上海アリス幻樂団」によって制作された弾幕系シューティングゲーム「東方Project」をテーマとしたイラストのメイキング集。

※本書は著作権者に許可を得た本とのこと。奥付に許可を得た本だと記載がある。

内容は描き下ろしイラストとメイキング解説、東方キャラ早見表で、付録としてレイヤー統合前のPSDデータを収録したDVD-ROMが付属する（収録データは絵師全員ではないことに注意）。参加絵師は26名。160P。

イラストはキャラのみのものから、背景まで含めた東方の世界観たっぷりのものまで様々で、大判の冊子で見応えがある。

ただし、ページ数の問題もあり、メイキング本としての解説にはあまり期待しないほうがいい。解説のうまさは絵師によりけりで、ものによってはラフを描きました、塗りました、程度でしかない。
ただ、色々な作家の描き方を見ることができ、PSDデータを見ることができるという点では有意義な本だと思う。
ある程度絵が描ける人で、他人のPSDデータを見ながら描き方を分析できるレベルの人であれば、メイキング集として役立つだろう。

「これから絵を描いてみたい」というツールの使い方も知らない初心者には解説書としては使えない。
好きな絵柄の絵師がいて、PSDデータを見ながら技を盗みたいという人であれば、参考になる部分もあるだろう。

なお、表紙イラストの清原紘氏のメイキングは2Pのみ。
ほかの作家24名もイラストとプロフィール紹介に2P、メイキング4Pなので、メイキングは深いものではない。
どの程度価格に見合うかは好きな絵柄の作家が何人いるかで意見がわかれるところだろう。
こういった本には珍しく（萌系イラストとして）レベルは保たれており、箸にも棒にも掛からない人はいないのが救いか。

表紙以外のメイキング付き絵師（描いたキャラクター、PSDデータの有無、使用ソフト）は以下の通り（敬称略）。

◆紅魔郷／妖々夢の章
★01 さくやついたち（月面重力加速度）
　魂魄妖夢
　PSDデータ有。