帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺 の感想

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タイトル帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺
発売日販売日未定
製作者柄谷行人
販売元青土社
JANコード9784791767977
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購入者の感想

マルクスが生産様式(誰が生産手段を所有するか)で世界を読み解いたのに対して、前著『世界史の構造』(岩波書店、2011年)で、著者は、交換様式に基づく新たな世界モデルを提示した。モデルというのは、交換様式を4種類(A=互酬、B=略取と再分配、C=商品交換、D=X(Aの高次元での回復))に分類し、2×2のMECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)マトリックスで表現したものである。このモデルを用いて歴史が読み解かれ、将来の見通しが論じられることで、思想書としては例外的に分かり易く説得力のある本となった。本書は、この『世界史の構造』に関して、著者が2012年に中国の大学や学会で行った講演を編集したもので、7回分が有機的で分かり易い解説書となっている。『世界史の構造』においては概念的でやや難解だった考え方が、世界史から豊富な事例で説明することにより、活き活きとしたものとなった。

著者は、交換様式に基づく世界史の再解釈として、定住革命(定住が農業と氏族社会を生み出した)、専制国家の起源、東アジアの帝国(秦漢隋唐およびモンゴル帝国)、近世の帝国(ロシア・オスマン・ムガール帝国)を順次取り上げる。最後に、世界共和国への見通し、および亜周辺としての日本を取り上げる。いずれも知的に刺激的な内容である。

「帝国」と「帝国主義」を峻別すべきとする著者の主張は大いに参考になった。「帝国の原理」においては、多数の部族や国家を、服従と保護という交換様式Bによって統治するシステムであり、宗教や言語などに関しては同化を求めない。服従と貢納さえすればよいのである。一方、帝国主義はネーション=国家の拡大としてあるもので、交換様式Cに基づいており、外見上、自由・民主主義を奨励しつつ、交易の自由度を最大限に高め、利潤を得るものである(p.86)。まさに、アメリカの推進するグローバリゼーションとTPPが帝国主義的戦略といえる。

 世界史の構造、哲学の起源に続く素晴らしい内容です。すでに良きレビューが並んでいますので内容についてはそちらに譲り、一言しておきたいのは、この雑な本作りです。それゆえに4つ星になってしまいました。本としての評価ということであればということで。
 後半、時間がなくて校正をしなかったのではないかと疑われるほど誤植、校正ミス(と思われる箇所)が目立ちます。内容が白熱したところに冷水を浴びせられるようであまりに残念。今後読み継がれる名著であるがゆえに、後世古書などでこの本を手にいれた人がまた気の毒です。
 青土社はこの程度の出版社になってしまったのでしょうか。これだけの本を世間に出す責任を感じてください。
 猛省を促したいと思います。

14年夏休みの楽しみとして買いました。交換様式A.互酬、B.再分配、C.商品交換、未だ見ぬD(X)、といういつもの柄谷理論。この理論を使えば、世界史上の「帝国」の盛衰がいかに見通し良く説明できるかを論じていますが、いつもの話の題材を変えただけです。最初はガッカリしましたが、高校時代苦手だった世界史の復習として読めば面白いと考えを改めました。世界史に得意になるには、出来事、人名、年数の暗記ではなく、それらを貫く大きな流れ・連関を掴むことが肝要だと私は考えますが、その「大きな流れ・連関」を、柄谷理論で説明してくれています。世界史の受験で苦労している、高校生・浪人生なんかに、いつの処方箋として読んで貰ったら結構な効能があるように思います。

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