美少女マンガ創世記: ぼくたちの80年代 (一般書) の感想

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参照データ

タイトル美少女マンガ創世記: ぼくたちの80年代 (一般書)
発売日販売日未定
製作者おおこしたかのぶ
販売元徳間書店
JANコード9784198638696
カテゴリ » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL » コミック

購入者の感想

本書は、採り上げる作家や作品を、「成人向け漫画」ジャンルに限定すること無く、広い意味での「エッチマンガ」としているために、成年コミック雑誌業界のみならず、大手出版社発行の少年誌・青年誌の内情にまで及んだ証言が集められています。

例えば、昭和30年代に貸本屋流通と小出版社によって発生した貸本劇画が、集団就職によって都市部で単身生活をする若者層の慰めとして発展したように、昭和50年代に自動販売機や古書流通を販路として出版されたポルノ誌やエロ劇画誌も、やはり小出版社によって発生し、メジャーで健全な男性向け娯楽誌では癒されない、やさぐれた独身者たちの性の伴侶となっただけでなく、アングラ情報の中継拠点としても独自の発展をしたと説きます。

アンダーグラウンドで発生したムーブメントを察知した大手出版社が、その世界で抜きん出た作家を引き抜いて自社の漫画雑誌に投入し、いっそうの発展を促した流れも、貸本劇画とエロ劇画の両者に共通した動きであったと、あらためて理解出来ました。

にもかかわらず、漫画における「性表現」革命の原初的発芽は、カウンター勢力である小規模出版社の大人向け劇画雑誌や、資本力とマンパワーを持つ小学館や講談社といった大手総合出版社からではなく、中規模の版元による後発の週刊誌=当時的には大物人気作家を起用する余裕がなく、無名新人作家のみで誌面を作っていた新興勢力の「少年ジャンプ」(集英社)と「少年チャンピオン」(秋田書店)から発生し、大御所であった手塚治虫までもがブームに便乗し、中堅2誌にエッチマンガを発表していた、と指摘している点も興味深いポイントです。(余談ですが、同時期、手塚がみずから率いる虫プロで制作した劇場長編アニメは3本ともセックスがテーマの大人向けアニメでした)

そして、昭和50年代半ばから突如起こった「ロリコン」の大ブームや、性的なマンガ同人誌の隆盛、「アダルトビデオ」の大普及も、これらエッチマンガの発達とは、切っても切れない共犯関係にあったということが、あらためてよくわかりました。

 「まいっちんぐマチコ先生」はアニメでしか見ていないので、みやすのんき以外はほぼ知らないか忘れていた漫画家ばかりでした。浅井裕が「ファミコンロッキー」描いてた事に今さら驚いていますし、遠山光の「胸キュン刑事」のデザインが獅堂光に似ていると思いました。失礼な話ですが、ものたりぬとりえちゃん14歳の話には笑わせていただきました。個人的には、上村純子や八神ひろきも出してほしかったです。
 当時は成人向けの漫画とそうでない漫画の境界線はほぼなかったと言っても過言ではないのですが、最近の漫画のように登場人物には見えている事にする姑息な演出ではなく堂々と女性の裸を描く事ができる平和な時代だったのです。
 バカなPTAや腐敗した政治権力との闘争は当時も今も変らないのですが、一番の問題は出版社の定義を明らかにしない自主規制にあるようです。そして漫画界の発展の為には読者投稿欄が必要です。
 

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