セロニアス・モンクのいた風景 の感想

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参照データ

タイトルセロニアス・モンクのいた風景
発売日販売日未定
販売元新潮社
JANコード9784105063122
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

村上春樹が翻訳したというだけでこのようなマニアックな本が
全国の書店に平積みになるのだから凄い。

多くの人にとっては、セロニアス・モンクって何?といった感じだろう
(半世紀前に活躍したアメリカの偉大なジャズピアニストだ。)

そのモンクの友人・知人たちがモンクについて語っている文章をまとめたのがこの本だ。
だからジャズに興味がある人以外は読んでもたいして面白くないんじゃないかとも心配した。
村上春樹とジャズが好きな私でもモンクはさほど好きでもないので
本屋で見かけても買うことはなく、図書館でたまたま見つけたから読んだだけだ。

でも意外と面白かった。
こんなに哲学的な知恵を持った人だとは知らなかった。
当時のニューヨークの雰囲気が伝わってきた。
モンクはチャーリー・パーカー(バード)を評価していなかったのか、と初めて知った。

他のレビューで紹介されているモンクの哲学的な言葉たちが特にかっこよかった。
世界の名言集に数えられるくらいの名言ばかりだと思う。
ジャズやモンクのことを知らない人でもこの本を読めば何か感じるものがあるだろうし
楽しめると思う。

最後に
この本の表紙は2014年に亡くなった安西水丸さんがモンクにタバコをあげてるところが描かれているが
和田誠さんが描いたイラストだという。
どことなく安西水丸さんタッチのイラストのようにも見える。
村上春樹のアイディアでこの表紙が出来上がったらしい。

セロニアス・モンクのエピソードは、読んでいて何故か切なくなる。どこを切ってみても、彼がどれほど音楽にピュアに臨んでいたかしかないからだろう。ここにおさめられた何人かのモンクに関する文章も、いくつか同じエピソードが重なっていて、書く人が違うと若干違う話になるのだなあと思いつつも、切なくなる読後感はどれも一緒だと感じた。あと、書き手それぞれが大体において「最初から(不遇の時代から)私はモンクの天才を理解していたんだ」と言いたげなのが、結構楽しい。オリン・キープニューズなんか一番主張してるね。でもモンクのレコードをいっぱい作った人だからそのぐらいの権利はあるよね。みんなモンクが好きなんだなととても強く感じる一冊。そして、一番切ないエピソードは、安西水丸さんとモンクがNYで会った時の出来事。村上さん、安西さん、そして和田さんまでリンクしている話なのだ。モンクが(遙か昔から)みんなをつないでいるんだなっていう不思議なエピソードで、なんかとても泣けた。

ナット・ヘントフ、オリン・キープニューズなど12名がモンクについて語った文章が収録されてます。

個人的に面白かったのが、レナード・フェザーがブラインドフォールドでモンクに8枚のレコードを聴かせてインタビューする章。
ディジー・ガレスピーの演奏にはすぐ反応しディジーの音楽について饒舌に語り、最後に「もう一回かけてくれ」
アート・ペッパーの演奏については、「この男は曲に音を付け加えている。そこにあるべきではないところに」
アンドリュー・ヒルの時は落ち着きなく部屋をうろつきまわり、オスカー・ピーターソンに至ってはトイレに立ってしまう。

スティーヴ・レイシーはモンク語録を紹介。
「天才とは最も自分らしい人間のことだ」
「いつだって夜なんだ。さもなければ光など必要あるまい」
「空白を用いることの、音楽をやりすごすことの価値を知らなくてはならない」
奇人・変人といった偏見の向こうに、とてつもなく深い洞察力を持った知的な音楽家の素顔が見える。
ブラインドフォールド・テストでアート・ペッパーの演奏に対してのコメントは、空白を用いることの重要性と無関係ではないだろう。

冒頭に村上春樹さんの「セロニアス・モンクのいた風景」と題した文章が載っていますが、これは1997年に出版された「ポートレイト・イン・ジャズ」のモンクについての文に加筆されたものです。
「ポートレイト・イン・ジャズ」刊行から15年以上経っていることですし、出来れば全く新しいモンクに関する村上さんのエッセイを読みたかったなっていうのが正直な気持ちです。

表紙のイラストは表が和田誠さんで裏は今年3月に亡くなった安西水丸さん。この表紙に関するエピソードについてはあとがきに書いてあります。

マイルズ・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、バド・パウエル、彼らが仰ぎ見る存在・・・それがセロニアス・モンクなのだと再認識させられた本です。

村上春樹さんにとって、セロニアス・モンクは
<どこからともなく予告なしに現れ、何かすごいもの、理解しがたいパッケージをテーブルの上にひょいと置いて、一言もなくまたふらりと姿を消してしまう「謎の男」みたいだった>そうです。
<モンクを主体的に体験することはとりもなおさず、ひとつのミステリーをそのまま受け入れることだった。
そのわけのわからない、中身の知れないパケージを何も言わずに受け取ることだった。
マイルズもコルトレーンもたしかに素晴らしい、天才的なジャズ・ミュージッシャンだ。そこに疑問の余地はない。
でも彼らが真の意味で「謎の男」であったことは、ぼくの個人的意見を言わせていただけるなら、一度もなかった>とも、村上さんは書いていらっしゃいます。 

この本は、
はじめて、モンクのレコ−ド、<5 By Monk By 5>を集中的にお聴きになって以来、ずーっと、
モンクに魅せられている村上春樹さんが長い間に集められた、モンクを直接知る多くの方たちによって書かれたモンクに関するエピソードや事実や、モンクの残した言葉などの文章の、村上さんの翻訳で構成されています。

わたしはとくに、アルフレッド・ライオンと結婚し、後に離婚してヴィレッジ・バンガードのオーナー、マックス・ゴードンと結婚した
ロレイン・ゴードンさんの<Monk>からの抜粋が、堪らなく素敵だと思います。

<セロニアス・モンクの良さはすぐに理解できた。彼のことはいつだって理解できた。モンクはまさに天啓のようなものだった。
一目見たときから、ぴったりくるものがあった。最初の日にアルフレッドとフランシス・ウルフと私はほとんど口を揃えて言った。
「この男を録音しよう!」、これが、モンクのブルー・ノートにおける最初のセッションの始まりで、ロレイン・ゴードンさんの誕生日にもあたっていたそうです。

他に、有名なジャズ評論家で、素敵なライナー・ノートでおなじみのナット・ヘントフさん、ダン・モーゲンスターンさん、レナード・フェザーさん、

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