日本の深層文化 (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル日本の深層文化 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者森 浩一
販売元筑摩書房
JANコード9784480064769
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 日本の民俗

購入者の感想

 本書は森浩一氏の「長年にわたって蓄積した知識が凝縮したもの」というだけあって、相当に読み応えのある、濃い一冊である。
 「普段は忘れかけているこの国の深層文化を抉りだし、現在の文明の混迷から抜けだす手がかり」にしたいという思いから出発している。今につながる日本の歴史というのは、稲作伝来にる弥生時代の開始以降、ひたすらにエネルギー生産を増大させてきた「文明化」の歴史である。その文明化が息詰まるとき、これを相対化するのは一つの知恵であろう。
 粟、田、野、猪、鹿などのテーマが取り上げられ、膨大な文献史料・考古学資料と深い思索から導かれ、展開する議論は重厚だが説得力と知的興奮に満ちている。おぼろげながらも、我々の先祖の生活の息吹が蘇ってくるようだ。
 派手さはないが、質実剛健な、良質の日本文化論である。
 

 本書は意気込みとして「深層文化」という名文句を使っている。稲(米)の文化が表層文化で、粟の文化が深層文化か、ということになりかねない。穿ちの評価ができないではないが、謙虚に落穂拾いと言っておくのがいいのかもしれない。イネ一辺倒で見てきた従来の常識に警鐘を鳴らすものかどうかは、著者自らか言うことばではなく、第三者の評言であるべきだろう。
 内容については、これまで見落とされた視点で、陽の目をみなかったもの、人ならば「在野の逸物」に目を向け、人材の発掘に類している。「野の役割を見直す」という第3章が百ぺーじにわたり本論の中軸となり、野に関わる古今の事物を網羅しようとする意欲が見られ、総花式ながら参考になることが多い。本書のタイトルにするには、地味ながら、もともとこれらの野にあるものの価値を見出す姿勢というものは、地味でいいのだろう。「やはり野に置け蓮華草」役に立つことが満載されているから、いずれ必要に応じて再びひもとこう。「野」のつく地名など必ず役立つと思っている。

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