ロング・グッドバイ ブルーレイBOX [Blu-ray] の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

　今やハードボイルドの探偵モノは、きわめて軽いコメディを含むか深夜枠に追いやられるか、それだけ連続ドラマでは挑戦的なジャンルになってしまった。
　本作は映画にしてもいいくらいの俳優陣、猥雑で無国籍感あふれるセット、クラシックカーや小道具、ストーリーをよく表した陰影に富んだ画面と音楽…、さすがNHK！
　ただ、くれぐれも原作のフィリップ・マーロウやハリウッド映画とは切り離して観た方がいい。
　脚本が戦後の復興期から高度成長に向けての日本を舞台としているが、人物の置き換え方とともに台湾の設定が絶妙！
　特に主演の浅野忠信が寡黙な設定なので、主人公に絡む登場人物がしゃべるしゃべる。その分、一番不満だったのは台詞回しの上手な役者をそろえてほしかったこと。
　小雪は日本を代表するファム・ファタールといった感じで、それ以外できなくなるのではないかと心配になるほど今回の当たり役。浅野の相手役には永瀬正敏も良かったかも…。
　「かつて日本にこんな男がいた…。」という典型的な物語だが、かつての寅さん映画のようにこれからも思い出したように作られてほしい作品である。
　オープニングを含むBGM、挿入歌が最高！